―日本が世界に誇る「富士山」―
富士山はその美しさで、日本人だけに限らず、世界中の人々の心も虜にしております。
そんな富士山が、実は「いつ噴火してもおかしくない活火山」であると知っている方は、意外と少ないかもしれません。
一方で、「活火山と言っても、もう何百年も噴火してないし…実は火山活動はもうほとんど終わっていて、噴火の可能性はほとんどないんじゃない?」
そう楽観的に考える方もいるかもしれません。
しかし、多くの専門家は「富士山の噴火リスクはなくなったわけではない、いつ噴火してもおかしくない状況だ」と、各メディアを通じて警鐘を鳴らしております。
本記事では、「富士山噴火」にまつわる話をまとめることで、「富士山噴火」の仕組みや、発生時の対応方法を紹介します。
「富士山噴火」と「南海トラフ」の恐ろしい関係性
まずは、「富士山噴火」の歴史について紹介します。
直近で富士山が噴火したのは、今から300年以上前の「宝永噴火」です(発生年月日:1707年12月16日)
この宝永噴火によって排出された火山灰は、なんと遠く離れた江戸まで届いたとされております。
そして、降り積もった火山灰によって農耕地が耕作不能となり、また河川氾濫などの二次災害を引き起こすなど、各地に甚大な被害を与えました。
ここで注目して頂きたい点は、この「宝永噴火」が起こる49日前には、南海トラフを原因とした「宝永地震」(推定M8.6)が発生している点です。
南海トラフを起因とする地震発生のメカニズムについては、以下の記事をご参照ください。
南海トラフを起因とした大地震により富士山の火山活動が活発化し、やがて「大噴火」へと繋がる…
地震と噴火という未曽有の災害が、いっぺんに日本を襲う危険性があるのです。
しかも、国の地震調査委員会の研究によりますと、南海トラフでマグニチュード8~9の巨大地震が今後30年で起きる確率は、70~80%とされております。
平均発生間隔が88.2年というデータもあることから、南海トラフを起因とする大地震がいつ発生してもおかしくない状況と言えます。
【引用】https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_kaiko/k_nankai/
また富士山におきましても、2011年3月15日(東日本大震災の4日後)に震度6強の直下型地震が富士山周辺で発生し、富士山の火山活動が活発化されたのではないか、との声もございます。
従いまして、「富士山は噴火しない」と楽観的に考えることは難しいと言えるでしょう。
もし「富士山噴火」が現実となったら…
それでは、もし「富士山噴火」という最悪のシナリオが起こった場合はどうなるのでしょうか。
2020年4月7日に政府の検討会によって公表されたシミュレーション結果は以下のとおりです。
1707年の12月、富士山で2週間余り続いた「宝永噴火」と同規模の噴火が発生し、今の首都圏に火山灰が集中して降った場合、都市機能はどうなるのかを国の検討会がシミュレーションした。
その結果、火山灰は噴火からわずか3時間で、神奈川県や東京の都心、千葉県、埼玉県にまで達し、微量の火山灰によって各地の鉄道の運行システムに不具合が発生、運行が停止する。
さらに視界の悪化により車の通行が困難となって、首都圏の広い範囲で交通機関がマヒするおそれがあるとしている。
雨が降っている場合には、電気設備に火山灰が付着し東京の都心でも停電するおそれがあるほか、通信や上下水道が使えなくなるおそれもある。
【引用】TEAM防災ジャパン https://bosaijapan.jp/
噴火と聞くと、「噴石」や「泥流」と呼ばれる土砂の流れによる被害をイメージしがちですが、こうした「火山灰」による被害が想像以上に深刻になります。
しかも、南海トラフを起因として富士山噴火が発生した場合、地震による被害と噴火による被害で、大パニックになることは容易に想像されます。
こうした背景を踏まえ、私達は地震に対する備えはもちろんのこと、噴火に対する備えも十分にしておくことが必要です。
「富士山噴火」にどう備えるべきか
まず、今からでも始められる備えは「非常用持ち出しバック」の用意です。
以下に、チェックリストの例を掲載しますので参考にしてください。
そして「噴火」に対する備えとして、「防塵ゴーグル」や「防塵マスク」を用意しておくとよいでしょう。
なぜならば、火山灰はガラスや鉱物の小さなギザギザとした粒であり、これを吸い込んだり、目や皮膚に付着したりすると、私達の体に障害をもたらします。
その備えとして、「防塵ゴーグルやマスク」が非常に役に立つとされております。
また富士山の周辺には、富士吉田市、御殿場市、富士宮市、富士市などの市街地があり、こうしたエリアは噴石や泥流などの危険があります。
以下に、気象庁が作成した「富士山における噴火警報と噴火警戒レベル」のリーフレットのリンクを掲載しますので、該当エリアの皆様におかれましては、どのエリアが噴石の危険性があるか、警報レベル毎の対応方法について、などを確認ください。
【引用】気象庁 「富士山における噴火警報と噴火警戒レベル」のリーフレット
https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/level/PDF/level_314.pdf
また意外と知られていないのですが、「噴火」による損害は「火災保険」では補償されませんが、「地震保険」であれば補償されるケースがございます。
詳細は本サイトの以下の記事を参照ください。
地震保険であれば「地震」「噴火」の両方のリスクに対する「経済的な備え」を施すことが出来ますので、対策の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
「富士山」は前回の噴火以降、約300年間もの間マグマを溜め続けていると言われております。
溜まり続けたマグマが一挙に放出された場合、ハイテク化された現代においては、江戸時代とは比較にならない位の大損害がもたらされるでしょう。
そうしたリスクを少しでも軽減するためにも、私達は正しい知識を身に着け、日頃より対策を講じて参りましょう。