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地震・津波で土地が埋もれた!家が流された!その時どうなる⁉

大規模地震が発生した場合、まずは人命救助や安全な場所への非難が最優先となりますが、その後の復興に向けて必要となるのがライフラインや道路の復旧、住宅の再建です。

地震や津波によって土地が埋もれたり、境界線が分からなくなってしまった場合や、住宅倒壊によって、土地の権利書を紛失してしまったり、がれきが敷地内に流れてきた場合、土地の権利はどうなるのか?行政による特別対応等はあるのか?調べてみました。

地震で土地の境界線がズレたらどうするのか?

まず、法律上、土地の境界は「筆界」と呼ばれています。

これまで、この筆界は「客観的に固有するもの」(最高裁判例・昭和31年12月18日)、つまり 何があっても動かないもの・動かさないものとされてきました。

例えば地すべりで土地の場所や形が変わっても、それは土砂が動いただけで、筆界の位置はそのままということになります。

しかしながら地震で近所周辺が丸ごとズレたりしたにも関わらず、筆界はそのまま、というのも違和感があります。

阪神大震災をきっかけに

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、直後に国土地理院が緊急観測した結果、広範囲にわたって数センチ~数メートル前後の土地の水平移動していることが確認されました。

このことから、土地の境界について国として何らかの指針を出さなければ、社会的混乱が生じることが懸念され、震災発生70日後に法務省は以下の通達を出しています。

兵庫県南部地震による土地の水平地殻変動と登記の取扱いについて(回答)

地震による地殻の変動に伴い広範囲にわたって地表面が水平移動した場合には,土地の筆界も相対的に移動したものとして取り扱う。 なお,局部的な地表面の土砂の移動(崖崩れ等)の場合には,土地の筆界は移動しないものとして取り扱う。 【平成7年3月29日 法務省民三第2589号 民事局長回答】

つまり、隣り合う数軒が同じ方向に同じだけスライドしたときは、現状の境界線が新たな筆界になります。これによって、「筆界は不動」という原則に、例外が認められた形になりました。

参考:ジュリスト「地震と土地境界」

http://www.yuhikaku.co.jp/static_files/shinsai/jurist/J1079067.pdf

具体的な解決方法

とはいえ、必ずしも同じ方向に移動するとは限らず、複雑に土地が移動した場合はどうなるのでしょうか?

実体法上決まったものがないため、まずは土地の所有者間での調整を図ることになります。

いまは人工衛星で基準点を計測しているので、もともとの位置からどれくらいズレたのかがかなりの精度でわかります。

なかには、気心知れたご近所だから、落ち着くまではそのままにしておこうという方法もあるかもしれませんが、 代が変わって相続が発生すると、「先代の取り決めなんて聞いていない」といったトラブルになることも大いに考えられますので、お金が絡む大事な問題だからこそ、専門家に相談しつつきちんと決着させることが重要です。

土地の権利証を紛失したら

東日本大震災後には、法務省から「権利証の紛失によって不動産(土地・建物)の所有権等の権利を失うことはない」旨の通達が出ています。

所有する土地に、津波によるがれきが流れてきたら

この場合、がれきとはいえ他人の所有物と考えられるため、原則としては土地所有者が勝手に撤去することは難しいようです。

がれきの中に価値があるものがあれば、本来遺失物として警察に届ける必要があるため、最寄りの警察や交番へ相談しましょう。 一方で明らかにごみと思われ、所有者も分からない状態であれば、撤去せざるを得ないこともありえます。 その場合は、万が一後日トラブルとならないよう、証拠となる写真を残しておくと良いようです。

以下の参考記事には、このような震災を契機に発生したトラブルの法律相談が掲載されています。

参考:仙台弁護士会

https://senben.org/shinsai_faq

まとめ

「不動産」という言葉からも分かるように、普段から私たちは、それを動かないものと思い込んでいます。人間社会では、その土地に境界線を引き、売買し生活することが当たり前ではありますが、自然の脅威によってそれは簡単に動いたり、海や川の中に消えてしまったりします。

土地とは、「筆界」という人間的な視点だけでなく、もっと大きな、地球上の「大地」さらには「プレート」の一部であることを改めて考えさせられます。

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