ほとんどの学校で行われている防災訓練。昔からその内容はあまり変わっていませんが、中には必要のないことに力を入れている学校も見られます。
防災教育は非常に大切なことですが、 その目的は「訓練すること」ではなく、実際に地震が起こった時に「命を守ること」です。今回は、もう一度考えなおすべきポイントをご紹介します。
揺れたら机の下に入る
1995年に発生した阪神淡路大震災では、机やテーブルの下から多くの遺体が発見されました。子供のころ、教えられたことを忠実に守っていることが分かる一方で、場合によってはそれが必ずしも正しいとはいえないこともありえます。
教室で授業を受けている時に地震が発生した場合、机の下に入ることは正しいでしょう。しかし、必ずしも机があるところで地震にあうとは限りません。
理科室で実験中だったら?家庭科実習で調理中だったら?廊下を掃除中だったら?様々なシチュエーションを前提に、防災教育を行うことが重要です。
防災頭巾
もともと防災頭巾は、火の粉や騒音等から頭を守るために、戦時中作られたものです。地震の揺れによる落下物から命を守るのであれば、ヘルメットの方が効果的です。昔から使われているからという理由だけでそのまま継承していくのではなく、変わっていく環境の中で、本当に必要なものはこれなのか?という視点が重要です。
すぐに外に出て点呼
地震が起きた後、すぐに校庭に出て全員無事かを確認する、という訓練をしている学校もありますが、実際は、ほとんどの場合外に出る必要はありません。かえって危険な状況にしてしまうこともありえます。
地震直後は、割れた窓のガラスが廊下に散乱しているかもしれません。雨が降っている場合や、熱中症になるほど暑い日である可能性もあります。更に危険なのは、外に向かう途中、余震が来ることです。大規模な地震ほど、断続的に余震発生することがありえます。もし大勢の生徒が校内を移動中、大きな揺れが起こったらどうなるでしょうか?
現在は、国内9割の学校で耐震化が完了しているため、すぐに倒壊する可能性はかなり低くなっています。
避難にかかった時間をはかる
防災訓練の際に、先生がストップウォッチを持って点呼完了までのタイムをはかっていたことを覚えている方も多いと思います。しかし、残念ながらこの行為はほとんど意味がありません。
先ほどからお伝えしている通り、校内のどこでどのような状況で、どのレベルの地震が起こるかは事前にわかりません。「とにかく急いで校庭に行く」という刷り込みは危険です。回り道をしたり、周りの状況を確認しながらゆっくり行動する方が、安全な場合も考えられるからです。
まとめ
冒頭に述べた通り、防災訓練の目的は「命を守ること」です。「完璧な訓練をすること」ではありません。校内のこんな状況で地震が起きたらどうする?など、先生と生徒でケーススタディをする、最適な行動を考える、そんな授業も必要かもしれません。