令和3年版消防白書によりますと、令和2年中の出火件数は、3万4,691件となっており10 年前の74.4%、また火災による死者数は1,326人の同76.3%とそれぞれ1/4ほど減少しています。しかしながら、まだ被害が少ないとは言えない状況です。
消防庁では消防防災における科学技術の研究・開発を推進しています。消防防災科学技術研究推進制度は、産学官の研究者から幅広く研究課題を募り、高い意義が認められる研究者に研究を委託することで、日本の防災技術を高め、被害軽減を目指していく制度です。
制度の概要につき、消防庁予防課消防技術専門官 中嶋様にお伺いしました。
Q. 制度の具体的な内容を教えてください
公募を行い、応募のあった研究課題の中から採択する課題を選定し、研究費を配分する制度です。(最大5,000万円/年度)応募に際しては、消防庁があらかじめテーマを設定した「テーマ設定型研究開発」と「テーマ自由型研究開発」のいずれかを選択いただきます。
Q. 実際に採択となった課題を紹介していただけますか?
直近の例をあげますと、ヤマトプロテック株式会社の「ガソリン火災の消火に資するマット・壁紙等の研究開発」があります。令和3年12月に大阪市北区において多数の死傷者を伴うビル火災が発生したことから、 ガソリン火災対策に資する資機材等の開発を目標に公募し、採択となりました。
この研究ではK/SMOKEという消火剤を用います。K/SMOKEはガス化したカリウムが、燃焼火炎中の酸素、水素、水酸基ラジカルと反応することにより、燃焼連鎖反応を断ち、消火に導くイノベーションです。本研究では、K/SMOKEをPANEL化し、壁や天井に限らず、様々な場所に設置してガソリン火災を消火することを目的としています。(詳細はこちらをご参照ください)
他にも様々な実例があり、消防庁HPで過去の実績を掲載しております。
Q. 制度に興味がある場合は、どのような手続きをすればよいでしょうか?
消防庁のHPを閲覧していただければと思います。令和5年度の対象は令和4年10月17日から、12月16日まで受付しています。詳細はこちらをご参照ください。
中嶋様、ありがとうございました!