冬のレジャーといえば、スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツがあげられます。大人から子供まで、家族で楽しめるスポーツとして人気があります。ウィンタースポーツをされる方の中には、この時期になると、毎週のようにスキー場に通っているという方もいるのではないでしょうか。
この記事では、スキー場にいるときに地震があったら、どのような被害が想定されるか、そのときどのように行動するべきか、事故の事例を挙げながら紹介していきます。
雪崩の危険性
スキー場で地震が発生した場合、最も怖いのが雪崩です。
地震による二次被害としては、火災や津波に比べて情報が少なく、詳しくご存じのない方も多いのではないでしょうか。
雪崩の怖いところは、ふわふわとした雪のイメージからかけ離れた、重さとスピードです。乾雪、湿雪といった雪の種類によりますが、1㎥あたりの重さは600~800kgといわれています。800kgといえば、軽自動車と同じくらいです。さらに、最大時速は150~200㎞にもなり、これは新幹線並みのスピードです。
軽自動車が新幹線と同じ速さで大量に押し寄せてくると考えると…恐ろしいですね。
スキー場での雪崩発生事例
以下は、実際にスキー場で発生した事故を抜粋したものです。詳細は記載のリンクからご覧ください。
雪崩による事故は定期的に発生しており、決して他人ごとではありません。
●栃木で雪崩、高校生ら8人死亡 40人けが
日本経済新聞 ー2017年3月27日
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG27H4A_X20C17A3CC0000
2017年3月、 那須温泉ファミリースキー場で発生しました。
県立高校の男子生徒7名と顧問の男性教諭1名の計8名が死亡し、重傷者7名を含む計40名がけがを負いました。
●トマムスキー場で雪崩、仏人男性が心肺停止 禁止区域で
朝日新聞デジタル ― 2020年1月30日
https://www.asahi.com/articles/ASN1Z5R8FN1ZIIPE01M.html
2020年1月、 北海道のトマムスキー場敷地外で雪崩が発生し、男女8人のスキー客のグループが巻き込まれました。
そのうち1名が心肺停止、のちに死亡しました。
●スノボ中に雪崩、1人死亡、長野・乗鞍岳のスキー場付近
朝日新聞デジタル ― 2020年2月1日
https://www.asahi.com/articles/ASN216QW6N21UOHB00D.html
2020年2月、 長野県のスキー場「マウント乗鞍スノーリゾート」付近の山中で、 知人とスノーボードをしていた男性が雪崩に巻き込まれ、死亡しました。
スキー場で気をつけるポイント
1.立ち入り禁止区域には近づかない
スキー場で雪崩に巻き込まれる事故は、主にスキー場外などいわゆるバックカントリーで発生するケースが多いです。
スキー場の定めたゲレンデやコース内で滑っていれば、雪崩に巻き込まれることはほとんどありません。立ち入り禁止区域には入らない・近づかないことを徹底しましょう。
2.天候が悪化したら安全な場所へ移動・避難する
1.で述べたように、雪崩に遭遇しないためにはスキー場管理外に近づかないことが最も重要です。天気の良い時間は、自分で気を付けてさえいれば問題ありません。
しかし、見通しが悪くなると、気づかないうちに危険な場所に入ってしまう可能性があります。
少しでも危ないと感じたら、中断し安全な場所へ移動しましょう。
3.万が一巻き込まれそうになったら
雪崩による死因は、窒息死と外傷がほとんどです。特に、窒息死だけで全体の70%を占めています。雪崩に巻き込まれて生還するには、空気の確保が生死の境目となります。
そのため、万が一の時はなるべく積雪の表面にとどまれるようにしたり、奥深くに埋まらないような努力が必要といわれています。また、酸素不足による窒息をさけるため、口や鼻の前に空間をつくることも重要です。
とはいえ本当に雪崩に遭遇したら、パニックで考えている余裕もなくなるでしょう。遭遇しないように細心の対策を取ることが一番といえます。