毎年冬になると、全国的に火事のニュースがよく報道されているのを耳にします。年間を通して気を付けなければいけませんが、改めてこの季節に自宅の火災対策について見直してみませんか?この記事では、火災について過去のデータや事例をもとに、対策について紹介していきます。
火災件数の月別比較
冬の火災は多い、というイメージは皆さんなんとなくお持ちかと思います。では、どのくらい多いのでしょうか?まずは具体的な数字をご紹介します。
下のグラフは、平成29年の国内で発生した建物火災件数を月別にあらわしたものです。
12月から年間の平均発生件数である1,780件を大きく上回り、4月・5月の春先にかけて減少しているのが分かります。
要因としては、初めに述べた通り空気の乾燥が最大の原因と考えられています。
空気は温度が高いほど含める水分量が多くなり、温度が低いほど、少なくなります。そのため気温の低い冬の間は、非常に乾燥した空気となります。
また、もともと気温が低く乾燥した空気を、暖房器具などで温めても、空気中に含まれる水分量は変わりませんので乾燥したままとなるのです。
火災の発生原因と対策
次に、火災の発生原因に関するデータを見てみましょう。
1位はたばこ、次いで放火、こんろ、たき火と様々な原因がありますね。この中でも、とくにご自宅で注意するべきものについて注意すべきことと対策を紹介していきます。
たばこ
たばこ火災によくあるパターンは以下のものが挙げられます。
●火が消えたのを確認せずに、室内のごみ箱に捨てたことにより出火した。
●灰皿に置いたたばこが落下したことに気付かず、布団や紙類に着火し出火した。
特徴は「無煙燃焼」です。無煙燃焼とは、炎を出さずに燃えている状態で、長い時間をかけて燃え続けます。布団や畳などを徐々に焦がしながら最終的に炎を挙げるため、気づいたときには煙が充満し一酸化中毒の危険もあり、注意が必要です。
たばこ火災を防止するためには「安全で、決まった場所で喫煙すること」「寝たばこは絶対にしないこと」「外出前、就寝前には改めて確認すること」を徹底しましょう。
配線
コンセントや電気配線から出火するケースも少なくありません。主な原因と対策は以下の通りです。
●トラッキング現象
コンセントに差し込んだプラグの間に付着したわたぼこり等が湿気を帯びて小さな スパークを繰り返し、やがてプラグの間に電気回路が形成され出火する現象を言います。
普段使用している電気製品のプラグは中途半端に差し込まずにしっかりと差し込むことで、隙間からほこりが入ることを予防しましょう。また、普段から使っていない電気製品のプラグは抜いておき、使用する際にはしっかりと掃除をしてから差し込みましょう。
●過電流
たこ足配線により1つの配線に複数の配線を繋げることで一定の電気の量を超えてしまうと、配線が発熱し出火する危険があります。
延長コードなどを利用して、一つのコンセントに対してたくさんつなぐことのないよう気を付けましょう。
●断線・半断線
電気配線は、細かい導線が束になって1本の線になっています。その細かい線の一部が内部で断線してしまうと、配線に流せる電気の量が減り、電気機器を通常に使用していても配線が異常に発熱して出火の原因となります。
断線・半断線の注意すべき点は、目で見て確認できなくても断線している場合があるということです。そのため日頃から断線の原因となるような取扱い方をしないよう気を付けることが大切です。
具体的には、配線の踏み付け・家具の下敷きにしない、折り曲げない、引っ張らない、コードを抜くときは配線部分ではなくプラグを持つことが予防につながります。
ストーブ
冬ならではの火災発生原因として、ストーブなどの暖房器具が挙げられます。
特に注意したいのが「電気ストーブ」による火災です。石油ストーブに比べると火を使わないので安全な印象ですが、東京消防庁による調査によると、実はストーブ火災の7割以上が電気ストーブによるものなのです。
事故の例としては、以下のようなケースが多くみられます。
● 電気ストーブのスイッチを入れたまま寝てしまい、布団が接触して延焼した。
● 電気ストーブの上に干していた洗濯物などの可燃物が落下した。
一番の対策は「ストーブの周りに燃えやすいものを近づけないこと」です。また、気を付けていたとしても何かの拍子で布や燃えやすいものが接触したり、近くに落ちてしまうことがあります。外出や就寝など、ストーブから長時間目を離してしまう際には必ず消すようにしましょう。
まとめ
この記事では、防災の中でも「火災」に焦点を当てて紹介しました。
火災は、数ある災害の中でも、皆さんの努力次第で予防できるケースが多くある災害の一つです。
特に今年は、外出自粛で自宅で過ごす時間が多くなるご家庭も多いでしょう。この機会に家族で対策を共有し、安全に冬を乗り越えましょう!